2026/09/29 08:32
こんにちは。
愛媛県今治市、大島にある海宿 千年松です。
これまで、このブログでは千年松の商品や、旅館のこと、私たちが大切にしていることを書いてきました。
今回は少し趣向を変えて、千年松の「料理」について書いてみたいと思います。
千年松には、いくつかの名物料理があります。
その中でも、千年松らしさを感じていただける料理のひとつが、
「焙烙焼き(ほうろくやき)」
です。
名前だけ聞くと、
「焙烙焼きって何?」
と思われる方もいるかもしれません。
実は、この料理には、千年松が大切にしている「海」や「素材をそのまま楽しむ」という考え方が詰まっています。

そもそも「焙烙焼き」とは?
焙烙焼きは、焙烙という器を使って食材を焼く料理です。
千年松では、魚介などの素材を使い、素材の味を楽しんでいただく料理としてお出ししています。
料理というと、
「どんな味付けをするか」
が大切だと思われがちです。
もちろん、味付けも大切です。
でも、千年松ではそれ以上に、
「素材そのものをどう楽しんでもらうか」
を大切にしています。
せっかく大島まで来ていただいたのなら、都会ではなく、この場所だからこそ味わえるものを食べてほしい。
そんな思いがあります。
海の近くにある旅館だからこそ
千年松は、目の前に海があります。
客室から海を眺めることができ、日によって違う表情を見ることができます。
船が通る。
潮が動く。
天気によって海の色が変わる。
朝と夕方でも、景色が違う。
そんな海を毎日見ていると、
「せっかく海の前にある旅館なのだから、料理でも海を感じてもらいたい」
と思うようになります。
もちろん、料理を食べただけで目の前の海が見えるわけではありません。
でも、
「大島に来て、海を見ながら、海のものを食べた」
という記憶は残ると思っています。
焙烙焼きも、そんな千年松での時間をつくる料理のひとつです。
「素材を活かす」ということ
千年松では、地元の魚を大切にしています。
魚は毎日同じものが入ってくるわけではありません。
その日に何が入るのか。
どんな状態なのか。
季節によって何がおいしいのか。
そうしたことを見ながら料理を考えます。
だから、
「いつ来ても全く同じものを出す」
ということだけが正解ではないと思っています。
その日に入った素材を見て、
「今日はこれがおいしい」
と思えるものを、お客様に食べていただく。
それも、海の前にある旅館だからできることだと思っています。
焙烙焼きも、素材を焼くことで、その味や香りを楽しんでいただく料理です。
焼いている時間も、料理の一部
焙烙焼きの魅力は、食べる瞬間だけではありません。
料理が運ばれてきて、
「これ、何だろう?」
と思う。
そして焼いているうちに、少しずつ香りが広がっていく。
その香りを感じながら、
「そろそろ食べ頃かな」
と待つ。
そして、できたてをいただく。
この時間そのものも、料理の楽しさだと思います。
旅館の料理は、ただ料理をお皿に盛って提供すれば終わりではありません。
「料理が出てくるまで」
「料理を待つ時間」
「食べる瞬間」
「食べ終わった後」
そこまで含めて、旅の思い出になるのだと思っています。
豪華な料理を出せばいい、ではない
旅館の料理というと、
「高級食材」
「品数」
「豪華さ」
に目が行きます。
もちろん、それも旅館料理の楽しみのひとつです。
千年松でも、伊勢海老などを使った料理をご用意しています。
でも、私たちが大切にしているのは、
「高価なものを食べてもらうこと」
だけではありません。
その土地で食べるからこそ、おいしい。
その季節だからこそ、おいしい。
その日の素材だからこそ、おいしい。
そして、
「大島まで来てよかった」
と思ってもらえる。
そんな料理を出したいと思っています。
料理は「大島を知る入口」
千年松に泊まっていただいたお客様に、
「この魚、おいしいですね」
と言っていただくことがあります。
そんなとき、料理をきっかけに、
「この魚はどこから来たんだろう?」
「大島ではどんな魚が獲れるんだろう?」
「この海にはどんな魚がいるんだろう?」
と興味を持ってもらえたら嬉しいです。
料理は、その土地を知る入口にもなると思っています。
観光地を見て回るだけではなく、
食べることで、その土地を知る。
それも旅の楽しみのひとつです。
千年松の料理は、海とつながっている
焙烙焼きを紹介しながら、改めて思います。
千年松の料理は、厨房の中だけで完成するものではないのだな、と。
海があって。
魚を届けてくれる人がいて。
料理をする人がいて。
料理を運ぶ人がいて。
そして、それを食べてくれるお客様がいる。
その全部がつながって、ようやく一皿の料理になります。
だから、千年松の料理を紹介するときには、
「おいしいですよ」
だけではなく、
「なぜ、この料理を出しているのか」
まで伝えていきたいと思っています。
大島に来たら、海を見て、海のものを食べてほしい
千年松に来たら、まず海を見てほしい。
部屋からでもいい。
お風呂からでもいい。
少し外に出て、海の近くを歩いてみてもいい。
そして、その海を眺めたあとに、海の恵みを使った料理を食べてほしい。
そうすると、料理の味も少し違って感じるかもしれません。
「さっき見ていた海から、こうして料理が生まれているんだな」
そんなふうに感じてもらえたら、私たちは嬉しいです。
焙烙焼きは、千年松の料理の中の一品にすぎません。
でも、その一品の向こう側には、
海のある暮らし。
大島という場所。
地元の食材。
そして、そこに関わる人たち。
があります。
これからも、このブログでは千年松の料理を一品ずつ紹介していきたいと思います。
次に千年松へ来られたときには、
「この料理、ブログで読んだな」
と思い出してもらえたら、それもまた嬉しいことです。
今日も目の前には、いつもの海があります。
そして、その海を見ながら、今日も千年松の料理を作っています。
