2026/09/23 08:40
こんにちは。
愛媛県今治市、大島にある海宿 千年松です。
旅館の料理というと、夕食を思い浮かべる方が多いかもしれません。
旬の魚が並んで、刺身があって、焼き物があって。
千年松でも、夕食はもちろん大切にしています。
でも、私たちがもうひとつ大切にしているものがあります。
それが、朝食です。
千年松の朝食は、女将が手作りしています。
特別に派手な料理ではありません。
でも、朝だからこそ食べてほしいもの。
一日の始まりに、体が喜ぶもの。
そんなことを考えながら、毎朝作っています。

朝の厨房は、夕食とは少し違う
夕食の時間帯は、旅館の中でも一番華やかな時間です。
お客様が席につき、料理が運ばれ、会話が生まれる。
その一方で、朝は少し静かです。
まだ島が完全に目を覚ましていない時間から、厨房では朝食の準備が始まります。
ご飯を炊いて、料理を盛り付けて、ひとつひとつ確認する。
お客様が起きてくる頃には、食事の準備が整っています。
私たちにとっては、毎日の仕事です。
でも、お客様にとっては、旅先で迎える一日の最初の食事。
そう考えると、朝食も決して「夕食のついで」ではありません。
「体が喜ぶ朝食」を作りたい
女将が朝食を作るときに大切にしているのが、
「体が喜ぶ朝食」
ということです。
旅行に来ると、普段よりたくさん食べたり、いつもと違うものを食べたりします。
夕食もしっかり食べる。
お酒も飲む。
楽しい時間だから、それでいいと思います。
だからこそ、朝は少し体を整えるような食事を食べてほしい。
温かいご飯を食べて、ほっとする。
「今日も一日、頑張ろう」
そんな気持ちで一日を始めてもらえたら。
そんな想いが、千年松の朝食にはあります。
豪華さだけが、いい朝食ではない
旅館の朝食というと、
「品数が多い」
「豪華」
「珍しいものがある」
そんなことが評価されることもあります。
もちろん、それもひとつの魅力だと思います。
でも、千年松が目指している朝食は、少し違います。
毎日食べても飽きない。
食べ終わったときに、なんとなく体が軽い。
そして、
「おいしかったな」
と自然に思ってもらえる。
そんな朝食です。
旅館だから特別なものを出すというより、
家に帰った朝に食べるような安心感。
そこに、少しだけ旅館らしさが加わっている。
そんな朝食が千年松らしいのではないかと思っています。
「おかえり」と「ただいま」が似合う朝
千年松では、
「おかえりなさい」
「ただいま」
という言葉が似合う宿でありたいと思っています。
それは、料理にも同じことが言えるのかもしれません。
豪華な料理で驚かせることだけが、おもてなしではない。
朝起きて、
「ご飯ができていますよ」
と迎えてもらえる。
温かい料理が並んでいて、
「いただきます」
と言って食べる。
そんな時間に、どこか懐かしさを感じてもらえたら。
まるで実家に帰ってきたような感覚。
千年松が目指している「ふるさと」のような宿は、そういう小さな時間の積み重ねからできているのだと思います。
料理だけではなく、その時間を届けたい
千年松では、料理を提供することだけを仕事だとは考えていません。
その料理を食べる時間まで含めて、旅館の時間だと思っています。
朝、海を眺める。
ゆっくり朝食を食べる。
食後に少しお茶を飲む。
そして、そろそろ出発しようかと荷物をまとめる。
チェックアウトの時間が近づいて、
「ありがとうございました」
「また来てくださいね」
とお見送りする。
そんな何気ない朝の時間も、旅の思い出のひとつになるのだと思います。
千年松の料理は、特別な一日だけのものではない
夕食には夕食の役割があります。
「今日は千年松に泊まるんだ」
と楽しみにしていただく料理。
そして朝食には、
「今日も気持ちよく一日を始めよう」
と思っていただく料理。
どちらも大切です。
そして、その間にあるのが、千年松で過ごす時間です。
海を眺めたり、島を歩いたり、スタッフと話したり。
何か特別なことをしなくても、ゆっくり時間が流れていく。
そんな場所だからこそ、朝食も派手さより「ほっとすること」を大切にしたいと思っています。
今日も、女将は朝食を作っています
この記事を書いている今日も、きっと女将は朝食を作っています。
いつものように厨房に立って、
いつものように準備をして、
お客様を迎える。
何年、何十年と続いていく旅館にとって、「いつも通り」というのは、とても大切なことなのかもしれません。
旅館の仕事をしていると、新しいことを始めることに目が向きがちです。
新しい商品。
新しいサービス。
新しい設備。
もちろん、それも必要です。
でも、それと同じくらい、
今まで続けてきたものを、これからも大切にすること。
それも千年松を残していくためには必要なのだと思います。
女将の朝食も、そのひとつです。
これからも、
「おいしかった」
だけではなく、
「なんだか、ほっとした」
と思ってもらえる朝食を。
そして、
「また帰ってきたい」
と思ってもらえる宿を。
今日も千年松の朝は、女将の朝食から始まります。
