2026/09/14 08:51

こんにちは。

愛媛県今治市、大島にある「海宿 千年松」です。

千年松といえば、

「魚がおいしい宿」

と言っていただくことがあります。

旅館なので、料理を楽しみに来てくださるお客様もたくさんいらっしゃいます。

では、なぜ千年松では魚を大切にしているのか。

今回は、そんな「千年松の食」についてのお話です。


高級な魚を使えば、おいしいのか

旅館の料理というと、

伊勢海老。

アワビ。

高級魚。

ブランド牛。

そんな「高級食材」を思い浮かべる方も多いかもしれません。

もちろん、千年松でも伊勢海老などを料理することがあります。

でも、私たちが料理を考えるとき、

「高い食材だから価値がある」

とは、必ずしも考えていません。

千年松が大切にしているのは、

「この場所だから食べられるもの」

です。


目の前に海がある

千年松の目の前には、来島海峡があります。

海がすぐそこにある。

これは、私たちにとって当たり前の景色です。

でも、旅館を訪れるお客様にとっては、その景色自体が旅の一部になります。

そして、その海で獲れた魚を、その日のうちに料理して食べてもらう。

これは、海のそばにある千年松だからこそできることです。

だから私たちは、

「せっかく千年松まで来てもらったのだから、千年松でしか味わえないものを食べてもらいたい」

と思っています。


魚は「仕入れる」のではなく「出会う」

千年松では、地元の漁師さんから魚を仕入れることがあります。

その日に何が獲れるかは、毎回同じではありません。

鯛の日もあれば、

アコの日もある。

蛸が入ることもあれば、

アナゴが届くこともあります。

「今日は何が入っているかな?」

そんなところから、料理が始まる日もあります。

これは、一般的な料理の考え方とは少し違うかもしれません。

先に料理を決めて、それに合わせて食材を仕入れる。

もちろん、それも大切な方法です。

でも千年松では、

「今日、こんな魚が入ったから、これをどう料理しようか」

ということがあります。

だから、魚との出会いも料理の楽しみの一つなのです。


新鮮だからこそできる食べ方

魚は鮮度が大切です。

でも、ただ新鮮ならいいというわけでもありません。

魚によって、

刺身がおいしいもの。

焼くとおいしいもの。

煮るとおいしいもの。

少し寝かせたほうがおいしいもの。

それぞれ違います。

例えば千年松では、鮮度の良いアナゴを刺身でお出しすることがあります。

「アナゴって刺身で食べられるの?」

と驚かれる方もいらっしゃいます。

それくらい、魚は「どこで、どんな状態で手に入るか」によって、できる料理が変わります。

地元で獲れた魚だからこそできる料理。

それをお客様に知ってもらうことも、私たちの役割だと思っています。


「瀬戸内の魚」というだけでは足りない

私たちは、

「瀬戸内の魚だからおいしい」

だけで終わらせたくありません。

どこの海で獲れたのか。

誰が獲ったのか。

いつ獲れたのか。

どんな魚なのか。

それを、どう料理するのか。

そこまで含めて、一つの「食」だと思っています。

千年松に来ていただいたお客様には、

「今日の魚はこれです」

「これは大島の漁師さんから届きました」

そんな会話も楽しんでもらいたい。

料理だけではなく、その背景まで知ってもらう。

それも旅の楽しみだと思っています。


漁師さんとのつながりも、大切な財産

千年松だけで魚料理ができるわけではありません。

魚を獲ってくれる人がいる。

魚を運んでくれる人がいる。

料理する人がいる。

料理を提供する人がいる。

そして、それを食べてくれるお客様がいる。

いろいろな人がつながって、ようやく一皿の料理になります。

特に地元の漁師さんとのつながりは、千年松にとって大切なものです。

「今日はこんなのが獲れたよ」

そんな一言から、その日の料理が決まることもあります。

こうした関係は、ネットで魚を注文すれば簡単に手に入るものではありません。

長い時間をかけて築いてきた、人とのつながり。

それも千年松の財産です。


実は、魚を「売りたい」わけではありません

オンラインショップを始めて、

「千年松の商品をもっとたくさんの人に知ってもらいたい」

という気持ちはもちろんあります。

でも、それだけではありません。

商品を通して、

「千年松って、こんな宿なんだ」

と知ってもらいたい。

魚を大切にする宿なんだ。

島のものを大切にする宿なんだ。

地元の人とのつながりを大切にする宿なんだ。

そんなことまで伝われば嬉しいと思っています。


一皿の料理から、大島を感じてもらいたい

旅館の料理は、単にお腹を満たすためだけのものではないと思っています。

その土地を知るきっかけにもなる。

その土地で暮らす人を知るきっかけにもなる。

そして、

「この魚が獲れる海を見てみたい」

と思ってもらえるかもしれません。

そうやって料理から大島に興味を持ってもらえたら、私たちは嬉しいです。


オンラインショップでも「千年松の味」を

宿に来ていただければ、目の前の海を見ながら食事を楽しんでもらえます。

でも、全国どこからでも大島に来られるわけではありません。

だからこそ、オンラインショップでは、

「千年松に行ったことはないけれど、千年松を少し感じてもらえるもの」

を届けたいと思っています。

食卓に千年松の商品が並んだとき、

「これ、どんな場所で作られているんだろう?」

「いつか大島に行ってみたいな」

そんなふうに思ってもらえたら嬉しいです。

一本の商品から、千年松へ。

そして、いつか大島へ。

そんなつながりができればと思っています。


今日も、海のそばで

今日も千年松の目の前には海があります。

船が行き交っています。

そして、どこかで漁師さんが魚を獲っています。

明日、千年松にどんな魚が届くのかは分かりません。

でも、

「今日は何が入るかな」

と楽しみにしながら、私たちは料理をしています。

それも、海のそばで旅館を営む楽しみの一つです。

これからこのブログでも、

「今日はこんな魚が入りました」

「こんな料理にしました」

「この魚は、実はこんな魚です」

そんな、千年松の日常もお届けしていきたいと思います。

観光情報だけでは分からない、大島の日常。

旅館のホームページだけでは伝えきれない、千年松の裏側。

そんなところまで、少しずつお伝えしていきます。

今日も千年松は、海のそばで。

皆さまの食卓にも、大島の風を少しだけ届けられたら嬉しいです。